更新日:2025/12/31
福祉分野では、担い手不足や人材の定着が長年の課題となっています。
その大きな要因のひとつが、他産業と比較して相対的に低い賃金水準です。
この課題に対応するため、国は介護職員の処遇を改善し、人材を確保する仕組みとして「福祉・介護職員処遇改善加算」を設けました。
一定の要件を満たす事業所が申請することで、介護報酬の基本部分に所定の割合を上乗せして受け取ることができます。
「福祉・介護職員処遇改善加算」には、提供する福祉サービスの種類ごとに定められた加算率があります。
本記事では、その中でも共同生活援助(いわゆるグループホーム)に焦点を当て、仕組みや特徴について解説いたします。
グループホームにおける福祉・介護職員等処遇改善加算は、『加算率』と『要件』の組み合わせにより(Ⅰ)から(Ⅳ)の区分が設定されています。
以前は(Ⅰ)~(Ⅴ)の5段階でしたが、令和6年度の制度改正により(Ⅰ)~(Ⅳ)の4段階に整理されました。
以下のような順序で考えると理解がしやすいと思います。
① 福祉・介護職員処遇改善加算の(Ⅰ)から(Ⅳ)の加算区分の決定
② 加算区分を基に加算率を決定
③ 加算率を介護報酬に乗じて加算額を計算します。これにより、各事業所の処遇改善加算額が決まります。
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅳ)は、事業所がどの要件をどれだけ満たしているかによって、どの加算区分になるかが決まります。
| 福祉・介護職員処遇改善加算 | ||||
|---|---|---|---|---|
|
各要件 |
(Ⅰ) |
(Ⅱ) |
(Ⅲ) |
(Ⅳ) |
|
キャリアパス 要件Ⅰ |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
|
キャリアパス 要件Ⅱ |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
|
キャリアパス 要件Ⅲ |
〇 | 〇 | 〇 | × |
|
キャリアパス 要件Ⅳ |
〇 | 〇 | × | × |
|
キャリアパス 要件Ⅴ |
〇 | × | × | × |
|
月額賃金改善要件Ⅰ・Ⅱ |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
|
職場環境等要件 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
すべての要件を満たす必要がある加算(Ⅰ)は取得が難しい一方で、加算(Ⅳ)は満たさなくてもよい要件がいくつかあるため、取得しやすくなっていることが特徴です。
各要件の解説ページのリンクを張っておきます。
ご確認ください。
加算率とは、各障害福祉サービスに定められた数値で、加算(基本報酬に上乗せできる仕組みそのもの)とは異なり、「基本報酬に何%を上乗せするか」を示す割合を指します。
例えば、共同生活援助の場合、令和6年度報酬改定後の加算率は以下のとおりです。
| 福祉・介護職員等処遇改善の種類 | ||||
|---|---|---|---|---|
|
サービス区分 |
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ |
|
共同生活援助(介護サービス包括型) |
14.7% | 14.4% | 12.8% | 10.5% |
|
共同生活援助(日中サービス支援型) |
14.7% | 14.4% | 12.8% | 10.5% |
|
共同生活援助(外部サービス利用型) |
21.1% | 20.8% | 19.2% | 15.2% |
参考 ☞令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容
【加算率】を導き出した後は、それぞれ出た数字を計算式に当てはめていくことで、処遇改善加算の金額が算出されます。
① ( 基本サービス費 + 各種加算減算 ) × 【加算率】 = 処遇改善加算の単位数
② 処遇改善加算の単位数 × 地域区分ごとの1単位の単価 = 処遇改善加算の金額
福祉・介護職員処遇改善加算は、職員の処遇改善を目的とした制度です。
そのため、加算金の使途については以下の要件を満たす必要があります。
違反すると、加算算定額の返還などの措置が取られる可能性があるため注意が必要です。
① 加算金は全額職員の処遇改善に使用
• 加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる必要があります。残りは賞与など他の形で分配することも可能ですが、算定額を下回る支給は不可です。
② 均等・公平な分配
• 労働契約や就業規則に沿って、正規・非正規問わず適切に分配することが望まれます。
• 一部の職員に過度に分配することはできません。
③ 帳簿・記録の整備
• 加算金の使途や支給額の記録を残し、監査時に提示できる状態にしておく必要があります。
一方で、詳細な分配方法は事業者の裁量に委ねられています。
特定の職員に過度に偏ることは認められませんが、全ての職員に平等に分配する必要はなく、事業者が適切と判断した方法で決定できます。
また、介護業務に従事している役員には、職員と同様に分配可能です(法人代表や業務に従事していない役員は対象外)。
福祉・介護職員処遇改善加算を取得するためには、主に以下の書類の提出が必要になります。
※ 提出物やフォーマット、毎年度の提出要否は 指定権者(都道府県・市町村)によって異なる場合があるため、必ず確認してください。
【福祉・介護職員処遇改善加算計画書】
加算を取得するために、事業所の計画内容を記載した書類です。計画書には、処遇改善の具体的な内容や目標、実施方法などを明記します。
提出期限:算定を開始する月の前々月末
【実績報告書】
加算を取得した後、実際の実施状況や成果を報告するための書類です。
提出期限:各事業年度における最終の加算支払があった月の翌々月の末日
【体制届】
事業所が「どの加算区分を算定するか」「どのような処遇改善を行うか」を届け出る書類です。
主に新規算定時、区分変更時に提出が必要となります。
※自治体により運用が異なり、毎年度必要な場合もあります。
【変更届】
変更事項があった場合、提出が必要になります。
以前は職員の処遇改善を目的として、
• 介護職員処遇改善加算
• 介護職員等特定処遇改善加算
• 介護職員等ベースアップ等支援加算
の3つが設けられていました。
しかし、制度が複雑で分かりにくいとの指摘を踏まえ、令和6年度の報酬改定からは「福祉・介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。
この新加算には従来3つの加算の要素がすべて含まれており、(Ⅰ)~(Ⅳ)の区分に整理された形で運用されています。
「福祉・介護職員等処遇改善加算」は、福祉や介護の仕事を担う人たちの給与や待遇を改善し、人材を確保するために設けられた仕組みです。
この制度によって職員の働く環境が整えられることで、離職を防ぎ、安定したサービス提供につながります。
つまり、職員の処遇改善はそのまま福祉サービスの質の向上にもつながります。
利用者や家族にとっても安心できる制度であり、福祉現場を支える大切な仕組みと言えます。
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