更新日:2025/12/13
近年、障害福祉サービスの現場では「当事者の経験」を活かした支援の重要性が高まっています。
その一つとして注目されているのが「ピアサポート」です。
ピアサポートとは、同じような障害や経験を持つ人同士が支え合う取り組みで、相互理解や共感に基づいた支援を実現できる点が特徴です。
厚生労働省はその価値を評価し、障害者グループホームにおいて「ピアサポート実施加算」という制度を令和6年度から新しく設けています。
【対象】
介護サービス包括型および外部サービス利用型のグループホームが対象となります。
【要件】
以下の要件をすべて満たし、「障害者ピアサポート研修(基礎研修・専門研修)」を修了した職員が、利用者に対して、自分の経験を生かした相談や支援を行ったときに加算できます。
① 特定の加算を取っていること
・「自立生活支援加算(Ⅲ)」
または
・「退居後(外部サービス利用型)共同生活援助サービス費」
を算定している事業所であること。
※自立生活援助加算(Ⅲ)の算定要件には「移行支援住居」を有することとあります。
そのため、ピアサポート実施加算・退居後ピアサポート実施加算は「移行支援住居」に居住している3年間の間に算定することができます。
※移行支援住居とは、将来の一人暮らしに備えて、生活訓練や相談支援などを集中的に受けながら生活できる住居です。
一般のグループホームのように長期間共同生活を続けるのではなく、一定期間(多くの場合3年間)に限って生活することが特徴です。
② ピアサポート研修を受けた職員を2名以上配置していること
・ そのうち1人は障害のある人(またはあった人)である必要があります。
※「経験のある当事者」が職員に含まれていることが必須です。
③ 職員向け研修を実施していること
・ 上記のピアサポート研修を修了した職員が、他の職員に向けて「障害のある人への配慮」などをテーマにした研修を年1回以上行っていること。
【単位数】
100単位/月
※日数での計算ではなく、包括的な月額加算の点に注意が必要です。
ピアサポート実施加算を算定するためには、次の手順が必要です。
① 届出書の提出
• 各事業所が属する 指定権者(都道府県や指定都市、中核市など) に届出を行います。
• 指定権者ごとに様式が異なる場合があるため、必ず各自治体のホームページで最新の届出書を確認しましょう。
※上記は埼玉県越谷市の例
② 添付書類の準備
届出の際には、加算要件を満たしていることを示すために、次のような書類を添付します。
1. ピアサポート研修の修了証の写し
2. 個別支援計画
3. ピアサポート実施記録
「届出書や添付書類を提出し、要件を満たしていることを証明すれば、翌月(又は翌々月)以降から利用者ごとに月100単位を算定できる」という流れになります。
障害者ピアサポート研修は、基礎研修と専門研修の2段階構成が基本です。
また、「研修日程」「受講定員」「受講料」などは、指定権者ごとに定められていて地域によって運用が異なる場合があります。
研修をスムーズに受けるためには、あらかじめ指定権者が公表している研修案内を確認し、申込時期・定員・受講料・申込方法などを抑えておくことが非常に重要です。
障害者グループホームにおけるピアサポート実施加算は、当事者の経験や力を活かした支援を推進するための重要な制度です。
利用者にとっては安心できる相談相手や自立への後押しとなり、ピアサポーター自身にとっても自己成長や社会参加の機会となります。
また、自立生活支援加算など他の加算と密接に関連している加算でもあります。
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