グループホーム(共同生活援助)における夜間支援等体制加算について、Ⅰ~Ⅵの区分ごとの算定要件、夜勤・宿直の違い、注意点を分かりやすく解説します。

夜間支援等体制加算

更新日:2025/12/14

夜間支援等体制加算

夜間支援等体制加算」とは、夜間時間帯における支援体制を評価する加算です。
共同生活援助には、「外部サービス利用型」「介護サービス包括型」「日中サービス支援型」という三つの類型があります。
このうち、「外部サービス利用型」と「介護サービス包括型」では、夜間支援員の配置は任意となっており、配置した場合には夜間支援等体制加算を算定することができます。
一方、「日中サービス支援型」は、24時間体制での支援を目的としているため、夜間も必ず支援員を配置する必要があります。
そのため、日中サービス支援型では夜間支援等体制加算ではなく、「夜勤職員加配加算」という別の加算が算定されます。
この加算には(Ⅰ)から(Ⅵ)までの区分があり、夜勤か宿直かあるいはその他の支援体制であるかなどその形態や内容によって算定できる区分および単位数が異なります。
本記事では、グループホーム(共同生活援助)における夜間支援等体制加算について、その算定要件や注意すべき点を解説します。



夜間支援等体制加算(Ⅰ)

【対象事業】
宿泊型自立訓練、共同生活援助(外部サービス利用型・介護サービス包括型)


【要件】
① 夜勤を行う夜間支援従事者を配置する
② 利用者に対して夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な介護等の支援を提供できる体制を確保している


※夜勤とは
労働基準法において「午後10時から午前5時まで」の深夜労働を指します。
後述する宿直と異なり、労働時間は原則として1日8時間以内、週40時間以内と定められています。
日勤と同様に労働時間が6時間を超え8時間以内なら45分以上、8時間を超えるなら60分以上の付与が労働基準法で義務付けられています。


※必要な介護等の支援を提供できる体制とは
夜間支援従事者が複数の住居に対して夜間支援を行っている場合、夜間支援従事者を配置している 住居とその他の住居が概ね10分以内で移動でき、かつ利用者からの呼び出し等に速やかに対応することができるよう連絡体制(非常通報装置、携帯電話など)を確保している必要があります。
また、一晩につき1 回以上の巡回が求められます。


【単位数】
単位数は利用者の人数や障害支援区分によって異なります。
ここでの障害支援区分は前年度の平均から算出します。(小数点以下は四捨五入)


夜間支援対象利用者2人以下 ㈠区分4以上 672単位 / 1日
㈡区分3 560単位 / 1日
㈢区分2以下 448単位 / 1日
夜間支援対象利用者3人   ㈠区分4以上 448単位 / 1日
㈡区分3 373単位 / 1日
㈢区分2以下 299単位 / 1日
夜間支援対象利用者4人   ㈠区分4以上 336単位 / 1日
㈡区分3 280単位 / 1日
㈢区分2以下 224単位 / 1日
夜間支援対象利用者5人   ㈠区分4以上 269単位 / 1日
㈡区分3 224単位 / 1日
㈢区分2以下 179単位 / 1日
夜間支援対象利用者6人   ㈠区分4以上 224単位 / 1日
㈡区分3 187単位 / 1日
㈢区分2以下 149単位 / 1日
夜間支援対象利用者7人   ㈠区分4以上 192単位 / 1日
㈡区分3 160単位 / 1日
㈢区分2以下 128単位 / 1日
夜間支援対象利用者8人   ㈠区分4以上 168単位 / 1日
㈡区分3 140単位 / 1日
㈢区分2以下 112単位 / 1日

~中略~ 

夜間支援対象利用者30人   ㈠区分4以上 45単位 / 1日
㈡区分3 38単位 / 1日
㈢区分2以下 30単位 / 1日



夜間支援等体制加算(Ⅱ)

【対象事業】
宿泊型自立訓練、共同生活援助(外部サービス利用型・介護サービス包括型)


【要件】
① 宿直を行う夜間支援従事者を配置する
② 利用者に対して夜間及び深夜の時間帯を通じて、定時的な居室の巡回や緊急時の支援等を提供できる体制を確保する
③ 夜間支援等体制加算(Ⅰ)の算定対象となる利用者については、算定しない。


※宿直とは
「宿直」とは、夜間に職場へ泊まり込み、緊急時の対応などを行う待機的な勤務形態のことです。
通常の業務を目的とする夜勤とは異なり、あくまで夜間の見回りや緊急時の対応を主な目的としています。
宿直は、原則として法定労働時間外の勤務とはみなされ、勤務中に一定の休憩や仮眠時間が確保されていることが一般的です。
なお、事業所が宿直勤務を導入する場合は、労働基準監督署へ「宿日直許可申請」を提出し、許可を受ける必要があります。


※定時的な居室の巡回や緊急時の支援等を提供できる体制とは
夜間支援従事者が複数の住居に対して夜間支援を行っている場合、夜間支援従事者を配置している 住居とその他の住居が概ね10分以内で移動でき、かつ利用者からの呼び出し等に速やかに対応することができるよう連絡体制(非常通報装置、携帯電話など)を確保している必要があります。
また、一晩につき1 回以上の巡回が求められます。


【単位数】
単位数は利用者の人数によって異なります。


夜間支援対象利用者4人以下 112単位 / 1日
夜間支援対象利用者5人 90単位 / 1日
夜間支援対象利用者6人 75単位 / 1日
夜間支援対象利用者7人 64単位 / 1日
夜間支援対象利用者8人 56単位 / 1日

~中略~

夜間支援対象利用者30人 15単位 / 1日



夜間支援等体制加算(Ⅲ)

【対象事業】
宿泊型自立訓練、共同生活援助(外部サービス利用型・介護サービス包括型)


【要件】
① 夜間及び深夜の時間帯を通じて、利用者に病状の急変その他の緊急の事態が生じた時に、利用者の呼び出し等に速やかに対応できるよう、常時の連絡体制又は防災体制を確保している。
② 夜間支援等体制加算(Ⅰ)又は夜間支援等体制加算(Ⅱ)の算定対象となる利用者については、算定しない。



※常時の連絡体制又は防災体制とは
警備会社や当該事業所の従業者等による常時の連絡体制又は防災体制を確保している状態を指します。
夜間支援等体制加算(Ⅲ)は、常駐する夜間支援員が不在でも算定できる点が特徴です。


【単位数】
15単位 / 1日




夜間支援等体制加算(Ⅳ)

【対象事業】
宿泊型自立訓練、共同生活援助(外部サービス利用型・介護サービス包括型)


【要件】
① 夜間支援等体制加算(Ⅰ)を算定している
② 夜間支援等体制加算(Ⅰ)の夜間支援員に加え、夜勤を行う夜間支援従事者を加配している。
※ 夜間支援等体制加算(Ⅰ)によって夜間支援員が2人以上いる場合は算定できません。
③ 共同生活住居を巡回している
④ 利用者に対して夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な介護等の支援を提供できる体制を確保している


※ 必要な介護等の支援を提供できる体制とは
夜間支援従事者が複数の住居に対して夜間支援を行っている場合、夜間支援従事者を配置している 住居とその他の住居が概ね10分以内で移動でき、かつ利用者からの呼び出し等に速やかに対応することができるよう連絡体制(非常通報装置、携帯電話など)を確保している必要があります。
また、一晩につき1 回以上の巡回が求められます。


【単位数】
単位数は利用者の人数によって異なります。


夜間支援対象利用者15人以下 60単位 / 1日
夜間支援対象利用者16人 56単位 / 1日
夜間支援対象利用者17人 53単位 / 1日
夜間支援対象利用者18人 50単位 / 1日
夜間支援対象利用者19人 47単位 / 1日

~中略~

夜間支援対象利用者30人   30単位 / 1日



夜間支援等体制加算(Ⅴ)

【対象事業】
宿泊型自立訓練、共同生活援助(外部サービス利用型・介護サービス包括型)


【要件】
① 夜間支援等体制加算(Ⅰ)を算定している
② 夜間支援等体制加算(Ⅰ)の夜間支援員に加え、夜勤を行う夜間支援従事者を加配している。
※ 夜間支援等体制加算(Ⅰ)によって夜間支援員が2人以上いる場合は算定できません。
③ 共同生活住居を巡回している
④ 利用者に対して夜間及び深夜の一部の時間帯において必要な介護等の支援を提供できる体制を確保している
⑤ 夜間支援等体制加算(Ⅳ)の算定対象となる利用者については、加算しない。


※夜間及び深夜の一部の時間帯とは
各自治体によって運用方法や解釈が異なる場合がありますが、多くの場合、夜間支援従事者が午後10時から翌日午前5時までの間において、少なくとも2時間以上勤務している場合に限り、当該加算を算定できるとされています。


【単位数】
単位数は利用者の人数によって異なります。


夜間支援対象利用者15人以下 30単位 / 1日
夜間支援対象利用者16人 28単位 / 1日
夜間支援対象利用者17人 26単位 / 1日
夜間支援対象利用者18人 25単位 / 1日
夜間支援対象利用者19人 23単位 / 1日

~中略~

夜間支援対象利用者30人    15単位 / 1日



夜間支援等体制加算(Ⅵ)

【対象事業】
宿泊型自立訓練、共同生活援助(外部サービス利用型・介護サービス包括型)


【要件】
① 夜間支援等体制加算(Ⅰ)を算定している
② 更に宿直を行う夜間支援従事者を加配している
③ 共同生活住居を巡回している
④ 利用者に対して夜間及び深夜の時間帯を通じて、定時的な居室の巡回や緊急時の支援等を提供できる体制を確保している
⑤ 夜間支援等体制加算(Ⅳ)又は夜間支援等体制加算(Ⅴ)の算定対象となる利用者については、加算しない。


※ 定時的な居室の巡回や緊急時の支援等を提供できる体制とは
夜間支援従事者が複数の住居に対して夜間支援を行っている場合、夜間支援従事者を配置している 住居とその他の住居が概ね10分以内で移動でき、かつ利用者からの呼び出し等に速やかに対応することができるよう連絡体制(非常通報装置、携帯電話など)を確保している必要があります。
また、一晩につき1 回以上の巡回が求められます。


【単位数】
単位数は利用者の人数によって異なります。


夜間支援対象利用者15人以下 30単位 / 1日
夜間支援対象利用者16人 28単位 / 1日
夜間支援対象利用者17人 26単位 / 1日
夜間支援対象利用者18人 25単位 / 1日
夜間支援対象利用者19人 23単位 / 1日

~中略~

夜間支援対象利用者30人    15単位 / 1日



まとめ

夜間支援員の配置は、介護サービス包括型および外部サービス利用型においては任意です。
利用者の障害特性や生活状況、また従業員の勤務環境や希望などを踏まえ、夜勤体制とするか宿直体制とするかを慎重に検討することが求められます。
事業所の実情に応じた適切な夜間支援体制の構築を検討しましょう。



 

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