更新日:2026/06/07
厚生労働省は、障害福祉サービスのグループホーム(共同生活援助)の管理者について、新たな資格要件を設ける方針を示しました。
2025年6月5日に開催された社会保障審議会障害者部会で提案され、委員からおおむね了承を得ています。
これまで共同生活援助の管理者には、明確な実務経験や研修修了の要件は設けられていませんでした。
しかし今後は、一定の実務経験と専門研修の修了が求められる見込みです。
障害福祉業界では以前から「グループホーム管理者にも資格要件が設けられるのではないか」と言われていましたが、今回の方針によって制度化の方向性が明確になりました。
グループホームの新規開設を検討している事業者や、将来的に管理者への就任を考えている方にとっては、大きな制度改正となりそうです。
厚生労働省が示した案では、共同生活援助の管理者になるために、以下の要件を満たす必要があります。
• 障害福祉サービス事業所や相談支援事業所、障害者支援施設などで3年以上の実務経験があること
• 新設される「共同生活援助管理者研修(仮称)」を修了していること
これらの要件は、指定基準に位置付けられる予定です。
なお、新設される管理者研修については都道府県が実施主体となり、2026年度から試行的に開始される見込みです。
その後、2027年度以降に本格的な開催が進められる予定となっています。
今回の制度見直しの背景には、グループホームの運営体制に対する課題があります。
近年、障害福祉分野では事業所数が増加する一方で、運営経験や支援実績が十分でない事業者の参入も見られるようになりました。
その結果、利用者への支援の質にばらつきが生じているとの指摘が現場から寄せられていました。
厚生労働省は、管理者に一定の実務経験と専門知識を求めることで、サービスの質の向上と適切な事業運営の確保を目指しています。
また、これはあくまで私個人の見解ですが、今回の見直しにはグループホームの新規参入に一定のハードルを設けることで、事業所数の急激な増加を抑制する側面もあるのではないかと感じています。
近年は全国的にグループホームの開設が相次いでいますが、その一方で運営体制や支援の質が十分に確保されているのかが課題として指摘されてきました。
管理者に実務経験を求めることで、利用者支援の質を担保するとともに、事業運営の適正化を図る狙いもあるのかもしれません。
厚生労働省は、新たな資格要件の導入にあたり、事業者への影響を考慮して経過措置を設ける方針も示しています。
制度自体は2026年度から導入されますが、本格的な施行は2030年度からとなる予定です。
また、「共同生活援助管理者研修(仮称)」については、2029年度末までに修了すればよいとされています。
そのため、現在運営中の事業所においては、一定の準備期間が確保されることになります。
経過措置の中でも特に注目されるのが、既存事業所の管理者への配慮です。
2025年度までに開設されたグループホームで既に管理者として勤務している場合は、3年以上の実務経験要件は求められない見込みです。
一方で、2026年度以降に新たに開設されるグループホームについては、管理者として就任する時点で3年以上の実務経験を有している必要があります。
新規参入を検討している事業者や独立開業を目指す方にとっては、今後の事業計画や人材確保に影響する制度改正となりそうです。
まだ制度の全貌は明らかになっていませんが、気になる点も少なくありません。
例えば、新設される共同生活援助管理者研修について、受講費用の負担があるのか、ケアマネジャーの法定研修のように定期的な更新研修が設けられるのかといった点は、今後の制度設計を見守る必要があります。
また、今回の見直しによって管理者に一定の実務経験が求められることになりますが、これがサービスの質の向上にどのような影響を与えるのかも注目したいところです。
個人的には、経験や知見を持った新規参入事業者が適切に参入しやすい環境であることも重要だと考えています。
実務経験要件によって一定の質が担保される一方で、今後は既存事業者による事業拡大が中心となる可能性もあります。
利用者にとって本当に必要なのは事業所数そのものではなく、質の高い支援を提供する事業所が増えることです。
今回の制度改正が単なる参入規制にとどまらず、現場の支援力向上につながる仕組みとなることを期待したいと思います。
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