「満室が続く」「安定収益」といった営業トークは本当か?障害者グループホーム開業の現実、訴訟事例、収益リスクを行政書士が解説。参入前に必ず確認したいポイントをまとめました。

「簡単に儲かる?」障害者グループホーム開業の現実と失敗リスクを解説

更新日:2026/03/18

共同生活援助(障害者グループホーム)指定申請を検討している方へ

近年、障害者グループホーム(共同生活援助)への参入を検討する企業や個人が増えています。それに伴い、開業支援コンサルタントやフランチャイズも数多く存在するようになりました。
もちろん、誠実に事業者を支援しているコンサルタントやフランチャイズもあります。
しかし一方で、過度に楽観的な説明で参入を促す事業者が存在するのも事実です。
例えば、次のような話を耳にしたことはないでしょうか。

「アパート経営よりもグループホーム経営の方が安定しています」
「家賃滞納や退居は基本的にありません」
「満室になれば、ほぼずっと満室です」
「障害者は増え続けているので需要は拡大する一方です」
「運営○年で年商○千万円になります」

一見すると魅力的に聞こえるかもしれません。
しかし、現実は決してそんなに甘いものではありません。
この記事では、これから参入を検討している方に向けて、共同生活援助事業の現実についてお伝えします。



グループホームは「簡単に儲かるビジネス」ではない

まず大前提として理解しておくべきことがあります。
共同生活援助は福祉事業です。
一般的な不動産投資やビジネスモデルとは、根本的に性質が異なります。
売上の原資の多くは、利用者が支払う自己負担ではなく、国や自治体の税金による給付費です。
つまり、税金によって成り立っている社会的インフラであるということです。
そのため、「短期間で大きく儲かる」「放っておいても利益が出る」というようなビジネスではありません。



「総量規制が来る前に参入しましょう」という営業トーク

最近、特に増えている営業トークがあります。
それが「総量規制が始まる前に参入しないと指定が取れなくなる」というものです。
確かに、地域によっては

・グループホームの急増
・財政負担
・サービス供給のバランス

などの理由から、総量規制(新規指定の抑制)が議論されている自治体もあります。
しかし、この話を利用して「今すぐやらないと間に合わない」「今が最後のチャンス
といった形で、焦らせて契約を取ろうとするケースも見受けられます。
事業は本来、十分な準備と理解の上で始めるべきものです。
「急がないと間に合わない」という言葉だけで、安易に参入を決めてしまうのは非常に危険です。



過去には訴訟に発展したケースも

グループホーム事業への参入をめぐっては、過去にフランチャイズ本部と加盟事業者(フランチャイジー)との間でトラブルが発生し、訴訟にまで発展したケースも存在します。
例えば、ペット共生型障害者グループホーム事業を展開するフランチャイズ本部とフランチャイジーとの間で、契約内容や収益見込み、サポート体制などを巡って争いとなった事例が知られています。
これらのケースでは、

・想定していた収益と実態の乖離
・本部からの支援内容に対する認識のズレ
・契約時の説明内容に関するトラブル

などが背景となることが多く見られます。
契約前の説明やシミュレーションをそのまま鵜呑みにするのではなく、事業計画の妥当性やリスクについて自ら精査することが極めて重要です。
例えば、加入を検討しているフランチャイズ本部が実際に運営しているグループホームを見学し、現場の運営状況や収益構造について直接ヒアリングを行うことも有効です。
また、加盟金や初期費用は数百万円から一千万円程度に及ぶケースもあり、決して小さな投資ではありません。
だからこそ、契約内容や収支計画については慎重に検討し、十分な下準備を行うことが不可欠です。



開業後すぐに黒字になるケースは多くない

グループホーム事業は、開業すればすぐに利益が出るわけではありません。
実際には

・開業準備費用
・物件取得費
・人件費
・設備投資
・入居者募集

など、様々なコストがかかります。
さらに、開業直後は利用者がすぐに満員になるとは限りません。
多くの事業所では事業が軌道に乗るまで赤字が続くというケースも珍しくありません。
その間は、持ち出しで運営する「自転車操業」に近い状態になることもあります。



「満室になったらずっと満室」ということはない

よく聞く営業トークの一つに、「一度満室になれば基本的に満室が続く」というものがあります。
しかし、実際の現場では

・利用者の体調の変化
・家族との関係
・就労状況の変化
・別の支援環境への移行
・入院や施設移動

など様々な理由で退居は普通に起こります。
グループホームは「賃貸住宅」ではなく、生活支援の場です。
そのため、状況に応じて生活環境が変わることは自然なことです。
実際に、私は支援の現場において、グループホームを卒業し次の生活の場へ移行していく利用者を数多く見てきました。



「赤字だからやめる」ができない事業

もう一つ大きな特徴があります。
それは簡単に撤退できない事業である。ということです。
一般的なビジネスであれば、「採算が合わないから撤退する」という判断も可能です。
しかし、グループホームには生活している利用者がいます。
利用者にとってはそこが生活の場であり、家です。
そのため、「赤字だからやめます」という判断は簡単にはできません。
だからこそ、この事業には強い理念と覚悟が必要になります。



福祉への思いがなければ続けるのは難しい

共同生活援助は、

・利用者の生活を支える
・自立を支援する
・地域で生活するための環境を作る

という社会的役割を担っています。
もちろん、事業として継続する以上、収益性は重要です。
しかしそれ以上に大切なのは「なぜこの事業をやるのか」という理念です。
福祉への思いがなければ、様々な壁に直面したときに事業を続けることは難しくなります。



それでも、誠実に取り組めば事業として成立する

ここまで読むと、「グループホームは大変な事業だ」と感じるかもしれません。
しかし誤解してほしくないのは、決して成り立たない事業ではないということです。
利用者と真摯に向き合い、地域や行政と信頼関係を築き、誠実に運営していけば事業として継続できるだけの収入は十分に得られます。
実際に、地域に根差して長く安定した運営を続けている事業所も多くあります。



行政書士である私が、この注意喚起を書く理由

私は、障害福祉サービス事業所の指定申請をサポートする行政書士です。
その一方で、社会福祉士でもあります。
福祉は、本来、利用者の生活を支え、地域社会をより良くしていくための仕組みです。
しかし近年、障害福祉事業の開業をめぐって「簡単に儲かるビジネス」であるかのような情報が広がっていることに、強い危機感を感じています。
もちろん、事業として継続するために収益は重要です。
ですが、福祉事業にはそれ以上に倫理観社会的責任が求められます。
事業者にとっても、利用者にとっても、そして地域社会にとってもより良い福祉の仕組みが広がってほしい。
そんな思いから、あえてこの記事を書いています。



最後に

障害者グループホームは、社会的に非常に重要な役割を担う事業です。
この事業に求められるのは、現実を正しく理解すること長期的な覚悟を持つこと、そして福祉に対する理念を持つことです。
これらを踏まえた上で参入するのであれば、社会にとっても利用者にとっても、価値のある事業となるはずです。





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【越谷で障害福祉サービス指定申請を支援する『社会福祉士×行政書士なばな事務所』】

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