障害福祉事業所で外国人を雇用する際は、在留資格によって働ける業務や就労の可否が異なります。本記事では、永住者・定住者・介護・特定技能・技術・人文知識・国際業務などの在留資格の違い、資格外活動許可、採用時に確認すべきポイントを行政書士がわかりやすく解説します。

障害福祉事業所の外国人雇用について

更新日:2026/07/05

福祉事業所が知っておきたい在留資格と外国人雇用の基礎知識

近年、障害福祉サービス事業所においても外国人材の活用が進んでいます。
しかし、「外国人なら誰でも働けるわけではない」という点は十分に理解しておく必要があります。
外国人を雇用する際には、日本人と同じように面接や採用を行うだけでは足りません。
その外国人がどのような在留資格を持っているのかによって、就労の可否や従事できる業務の範囲が決まるためです。
特に障害福祉事業所では、生活支援員や世話人、介護職員などの人材不足が深刻化しており、外国人雇用への関心が高まっています。
本記事では、「働ける外国人」と「働けない外国人」の基本的な考え方について解説します。



外国人が働けるかどうかは在留資格で決まる

外国人の就労可否を判断する際に最も重要なのが「在留資格」です。
在留資格とは、日本に滞在する外国人に認められる活動内容や身分を定めた資格のことです。
日本では、外国人の受入れと国内の雇用秩序を適切に維持するため、在留資格ごとに認められる活動が定められています
これは不法就労を防ぎ、日本人や適法に働く外国人の雇用環境を守るためでもあります。
同じ外国人であっても、自由に働ける人もいれば、一定の条件下でしか働けない人、原則として働けない人も存在します。
そのため、採用前には必ず在留カードを確認し、どの在留資格を持っているのかを把握する必要があります。



身分・地位に基づく在留資格

最も自由に働けるのが、身分や地位に基づく在留資格を持つ外国人です。
代表的なものとして以下があります。

• 永住者
• 日本人の配偶者等
• 永住者の配偶者等
• 定住者

これらの在留資格を持つ外国人は、就労活動に制限がありません。
日本人とほぼ同様に雇用することができ、職種や勤務時間にも制限がないため、障害福祉事業所においても生活支援員や世話人などとして勤務することが可能です。



就労が認められている在留資格

次に、一定の範囲で就労が認められている在留資格があります。
代表例としては次のような資格です。

• 技術、人文知識、国際業務
• 介護
• 特定技能
• 技能
• 経営・管理
• 特定活動(EPA)

これらの在留資格では、許可された業務の範囲内でのみ働くことができます。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、専門的な業務が想定されており、単純作業を主な業務として行うことは原則として認められていません。
このように、日本では在留資格ごとに認められる活動内容が細かく定められています。
福祉分野では、「介護」や「特定技能」といった在留資格が特に関係してきます。



資格外活動許可を受けた外国人

以下のような在留資格を持つ外国人は、原則として就労できません

・ 家族滞在
・ 短期滞在
・ 研修
・ 留学
・ 文化活動

これらの在留資格は、日本に滞在する主な目的が「働くこと」ではないためです。
ただし、「留学」や「家族滞在」などの在留資格については、資格外活動許可を取得することで一定の範囲でアルバイトが認められる場合があります。
なお、勤務時間には制限があり、通常は週28時間以内とされています。
制限を超えて働かせた場合は、外国人本人だけでなく雇用主も法令違反に問われる可能性があるため注意が必要です。
逆に言えば、資格外活動許可を取得していない場合は、これらの在留資格を持つ外国人を就労させることはできません。
採用時には在留資格だけでなく、資格外活動許可の有無についても必ず確認するようにしましょう。



採用時に必ず確認したいポイント

外国人を採用する際は、在留カードの確認が欠かせません。
確認すべき主なポイントは次のとおりです。

• 在留資格の種類
• 在留期限
• 資格外活動許可の有無
• 就労制限の内容

「外国人だから働ける」「日本語が話せるから問題ない」と判断するのではなく、在留資格に基づいて就労可否を確認することが重要です。
また、特定技能外国人を受け入れる場合は注意が必要です。
特定技能制度では、外国人が日本で安定して就労・生活できるよう、職業生活や日常生活に関する支援の実施が義務付けられています。
そのため、単に雇用契約を締結するだけではなく、支援体制の整備や支援計画の作成なども必要になります。
外国人雇用は人材確保の有効な手段ですが、在留資格ごとに異なるルールがあるため、採用前に十分な確認を行うことが重要です。



まとめ

外国人雇用において最も重要なのは、「その人が外国人であること」ではなく、「どの在留資格を持っているか」という点です。
大きく分類すると、

「身分系資格で自由に働ける外国人」
「就労系資格で一定範囲の業務に従事できる外国人」
「資格外活動許可により限定的に働ける外国人」
「原則として働けない外国人」

に分けることができます。
障害福祉事業所においても人材確保の選択肢として外国人雇用は今後ますます重要になりますが、適法な雇用を行うためには在留資格の理解が欠かせません。
まずは「働ける外国人」と「働けない外国人」の違いを正しく理解することから始めましょう。