更新日:2026/06/29
外国人を雇用する際の法的規律は、単一の法律で完結しているわけではありません。
実務上は「入管法(出入国管理及び難民認定法)」と「労働法制(労働基準法を中心とする労働関係法令)」という性質の異なる二つの法体系が重なり合って適用されます。
入管法は「その外国人が日本で働くことができるかどうか」という在留資格の可否や範囲を規律するのに対し、労働法は「働くことが認められた後に、どのような労働条件で雇用すべきか」を規律します。
この役割の違いを整理することが、外国人雇用実務の理解の出発点になります。
出入国管理及び難民認定法
第一条 出入国管理及び難民認定法は、本邦に入国し、又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする。
労働基準法
第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
② この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
入管法は、外国人が日本に在留し活動するための根拠法であり、特に「就労できるかどうか」を決定する入口規制として機能します。
外国人は在留資格ごとに活動内容が限定されており、例えば就労系在留資格では、許可された範囲内でのみ就労が認められます。
一方で「留学」や「家族滞在」などの資格は原則として就労不可ですが、資格外活動許可を得ることで一定範囲のアルバイト等が可能となります。
つまり入管法は、雇う前の段階で「働ける人かどうか」と「その仕事を任せて問題ないか」を確認するためのルールだと考えると理解しやすいです。
労働法は、国籍に関係なく日本で雇用される労働者全員に適用されるルールです。
外国人であっても、日本国内で労働契約を締結した時点で、労働基準法をはじめとする各種労働関係法令の保護対象となります。
具体的には、労働時間、最低賃金、割増賃金、安全衛生、解雇規制などが中心となります。
外国人雇用において企業が留意すべき点は、どちらか一方ではなく両法への同時対応が必要であることです。
入管法上は在留カードの確認、就労制限の有無、資格外活動許可の確認が基本となります。
一方で労働法上は、雇用契約書の整備、賃金体系の適正化、労働時間管理などが求められます。
特に注意すべきは、適法な在留資格を持っていても労働法違反が成立し得る点、逆に労働条件が適正でも在留資格外の業務であれば違法となる点です。
外国人の在留や就労は、日本人とは異なり、在留資格ごとに活動できる範囲が細かく決められており、必ずしも自由に働けるわけではありません。
これは、日本の雇用秩序を守るという目的に加えて、受け入れた外国人が想定外の不利益を受けないようにするための仕組みでもあります。
このような仕組みの中で、外国人雇用は、入管法による「どのような在留・就労が認められているかの管理」と、労働法による「働く際の条件や待遇のルール」という二つのルールが組み合わさって成り立っています。
したがって「そもそもその仕事を任せてよいのか」という視点と、「雇用する場合にどのような条件で働いてもらうべきか」という視点を分けて確認し、どちらも適法な状態にしておくことが重要になります。
このルールを正しく理解しないまま運用してしまうと、意図的でなくても不法就労につながる可能性があり、外国人本人にとっては在留資格の取消しや退去強制といった重大な不利益につながるおそれがあります。
そのため、制度を正しく理解し、適切に運用することが、企業側のリスク回避だけでなく、外国人本人を守ることにもつながります。