更新日:2026/07/18
外国人雇用について相談を受ける中で、
「永住者は日本人と同じように働けるのですか」
「定住者であれば職種の制限はありませんか」
といった質問を受けることがあります。
外国人の就労可否を判断する際、多くの事業者は「介護」や「特定技能」などの就労系在留資格に注目しがちです。
しかし、実務上は永住者や定住者などの身分系在留資格を持つ外国人を雇用するケースも少なくありません。
これらの在留資格は就労活動に制限がないため、福祉事業所においても幅広い職種で活躍することが可能です。
この記事では、就労制限のない在留資格の基本的な考え方と実務上のポイントについて解説します。
就労制限のない在留資格とは、特定の業務内容を前提として付与されるものではなく、
日本での身分や地位に基づいて認められる在留資格をいいます。
代表的なものとして、次の在留資格があります。
【永住者】
永住者とは、永住許可を受けて「永住者」の在留資格を取得した外国人のことで法務大臣が永住を認める者をさします。
永住者は在留期間や就労活動に制限がなく、日本で安定して生活することが認められています。
【定住者】
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者を指します。
例えば、第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等が該当します。
原則として就労活動に制限がなく、自由に働くことが認められています。
一方で、永住者と異なり、定住者には在留期間(5年、3年、1年、6月又は法務大臣が個々に指定する期間)が定められており、期限前に更新手続きが必要です。
※第三国定住とは
難民キャンプ等で一時的な庇護を受けた難民を、当初庇護を求めた国から新たに受入れに合意した第三国へ移動させることです。
難民は移動先の第三国において、庇護あるいはその他の長期的な滞在許可を与えられることになります。
※日系3世とは
日系3世とは、日本人の孫にあたる外国人を指します。
特にブラジルやペルーなど中南米諸国には多くの日系人が居住しています。
※中国残留邦人とは
第二次世界大戦終戦前後の混乱の中で家族と離れ離れになり、中国に取り残された日本人のことをいいます。
【日本人の配偶者等】
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者を指します。
就労活動に制限がなく、自由に働ける一方で5年、3年、1年又は6月の在留期間が設けられています。
【永住者の配偶者等】
永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者を指します。
就労活動に制限がなく、自由に働ける一方で5年、3年、1年又は6月の在留期間が設けられています。
これらの在留資格を持つ外国人は、原則として職種や業種に制限なく就労することができます。
そのため、一般企業はもちろん、介護事業所や障害福祉サービス事業所においても、日本人と同様の形で採用することが可能です。
「介護」や「特定技能」などの就労系在留資格は、いずれも一定の就労活動が認められている一方で、制度設計には違いがあり、在留期間の取扱いや家族帯同の可否など、生活面の要件にも差が設けられています。
例えば、「介護」の在留資格を持つ外国人は、介護福祉士として介護業務およびその指導業務に従事することが前提とされています。

一方、「特定技能」は、分野ごとに対象業務や従事できる業務区分が明確に定められており、その範囲を超えた業務に従事することはできません。

これに対し、永住者や定住者などは在留資格による職種制限がありません。
この点が、就労系在留資格との大きな違いといえます。
就労制限がない在留資格であっても、雇用時に確認を行わなくてよいわけではありません。
まず確認すべきなのは在留カードです。在留カードには、
「氏名」「在留資格」「在留期間(有効期限)」「就労制限の有無」「住居地」
などの重要な情報が記載されています。
また、在留カードはICチップが搭載されており、専用の読取機器等を用いることで記載情報の真正性を確認することができ、偽造カードの防止にも有効とされています。
外国人を採用する際は、まず在留カードの提示を受け、在留資格の種類を確認しましょう。
在留カードが失効していないか、記載内容に変更がないか、就労制限の有無などについても確認することが重要です。
また、外国人雇用後には、事業主に対して公共職業安定所(ハローワーク)への外国人雇用状況の届出義務があるため、この点も忘れてはなりません。
永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等といった身分系在留資格は、原則として職種や業務内容の制限なく就労することができます。
そのため、福祉事業所においても日本人と同様に幅広い職種で雇用することができ、人材確保の選択肢として重要な存在となっています。
もっとも、就労制限がないからといって確認義務まで不要になるわけではありません。
在留カードの有効期限や在留資格の状況を適切に確認し、適正な雇用管理を行うことが重要です。
一方で、今後の外国人介護人材の受入れにおいては、在留資格「介護」や特定技能、さらには育成就労制度など、就労系在留資格の活用も一層拡大していくことが見込まれます。
これらはそれぞれ制度上の要件や業務範囲に違いがあるため、身分系在留資格と併せて正しく理解し、適切に使い分けていくことが求められます。