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次回の報酬改定は令和9年に予定されていましたが、近年の障害福祉を取り巻く状況等を踏まえ、令和8年6月に臨時応急的な見直し(臨時報酬改定)が実施されることとなりました。
本稿では、令和8年の臨時応急的な見直しの概要に加え、今回の見直しにおける最大のポイントである「応急的な報酬単価」について解説します。
就労移行支援体制加算については、制度趣旨に沿った運用となるよう、適正化が図られます。
これは、同一の利用者が就労継続支援A型事業所と一般企業との間で離転職を複数回繰り返し、その都度当該加算が算定されている事例が課題として指摘されているためです。
なお、就労移行支援体制加算における具体的な問題事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。
就労継続支援B型では、利用者に支払う工賃が高いほど報酬が加算される仕組みとなっています。
しかし、平均工賃月額の算定方式が見直されたことにより、想定以上に高い報酬区分に該当する事業所が増加しました(平均工賃月額が約6,000円上昇)。
その結果、制度全体の予算が圧迫される状況となったため、基本報酬区分の基準について見直しが行われることとなりました。

見直しの具体的な内容は、以下のとおりです。
・ 平均工賃月額が約6千円上昇していることを踏まえ、基本報酬区分の基準額を引き上げる。引き上げ幅は、その上昇幅の1/2である3千円に留める。
・ 令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所については、見直しの適用対象外とする。
・ 今回の見直しにより区分が下がる事業所も、その影響が一定の範囲内に収まるよう配慮し、基本報酬の減少額が3%程度に収まるよう中間的な区分を新設する。
・ 令和6年度改定で単価を引き下げた区分七と八の間の基準については引き上げず、据え置く。
以下の福祉サービス分野については、新規参入が相次ぎ、利用ニーズに対して供給が飽和している状況を踏まえ、新規事業所を対象とした時限的な報酬見直しが行われます。
・ 就労継続支援B型
・ 共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)
・ 児童発達支援
・ 放課後等デイサービス
上記のサービスのうち、令和8年6月以降に指定を受けた新規事業所については、令和9年度の報酬改定までの間、基本報酬が引き下げられます
( 加算を含めた給付費全体でみると、▲1%弱~▲1%半ば程度 )
なお、既存事業所については、従前どおりの報酬水準が維持されます。
【応急的な報酬単価の例外】
新規に指定を受け、かつ前述の対象サービスに該当する事業所であっても、一定の加算を算定している場合や、特定の地域において運営されている事業所については、例外的に基本報酬の引き下げは適用されません。
本項では、対象事業のうち、就労継続支援B型および共同生活援助について解説します。
★報酬上の一定の評価(加算)を受けている場合
☞重度障害者支援加算(Ⅰ)
☞医療的ケア対応支援加算
☞医療連携体制加算Ⅳ
☞高次脳機能障害者支援体制加算
☞視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の内容や算定要件をわかりやすく解説。加算(Ⅰ)(Ⅱ)の違い、対象者基準、専門性を有する職員配置の考え方、算定状況まで詳しく紹介します。
★離島・中山間地域にある事業所
★自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所 (例:公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所等)
今回の臨時応急的な見直しを通じて、いくつかの点が強く印象に残りました。
今後、就労継続支援B型事業所には、これまで以上に透明性の高い運営が求められ、あわせて監視・評価体制も一層整備されていくものと考えられます。
具体的には、
• 生産活動よって得た収益で工賃が適切に賄われているか
• 一般就労へどの程度つなげることができているか
• 訓練内容が利用者の就労能力向上に実質的に寄与しているか
といった点が、より厳しく問われるようになるでしょう。
その一方で、支援内容や強みを明確に打ち出し、就労訓練施設としての役割を的確に果たしている事業所については、今後も大きな支障なく運営を継続できるものと感じています。
新規指定事業に対する基本報酬の引き下げは、一見すると不公平な措置のようにも受け取られます。
しかしその背景には、地域のニーズに即した事業展開ではなく、福祉制度への十分な理解を欠いたまま、営利目的で参入する事業者が存在し、結果として利用者の奪い合いが生じている実態が指摘されています。
今回の措置は、こうした事業者を一定程度抑制・排除する狙いがあるものと読み取れます。
特筆すべき点は、この措置が令和9年度報酬改定までの時限措置とされている点です。
次回報酬改定において、サービス量全体を抑制する、いわゆる総量規制が導入されても不思議ではありません。
その一方で、重度障害児者を対象としたサービス事業者については、依然として不足傾向が続いています。
重度障害児者やその家族は、今なお支援を必要としており、地域の中で切実な助けを求めているのが現状です。
就労選択支援、相談支援事業、ならびに重度障害児者への支援は、今後、より一層注目される分野であると考えられます。
近年、報酬の不正請求・過大請求や、制度趣旨に沿わない就労訓練を行う事業所の存在、また重度障害児者に対する支援を提供する事業所が不足している現状について、厚生労働省も課題として認識しています。
こうした状況を踏まえると、制度を適切に運用していくためには、就労選択支援や相談支援事業が本来の役割を果たし、適切に活用されることが、今後ますます求められるのではないでしょうか。
今回の令和8年度における臨時応急的な見直しは、単なる報酬調整にとどまらず、障害福祉サービス全体の在り方や、事業者に求められる姿勢を改めて問い直す内容であったといえます。
今後は、量的な拡大ではなく、制度趣旨に沿った質の高い支援が一層重視され、地域のニーズに真摯に向き合う事業者が選ばれていく時代になるでしょう。
令和9年度報酬改定を見据え、事業者一人ひとりが自らの支援内容や役割を再確認し、持続可能で信頼される障害福祉サービスの提供に取り組んでいくことが、これまで以上に求められていると感じます。
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