家事支援サービスの国家資格化として検討が進む「家政士」。既存の民間資格や介護福祉士等との重複、合格率上昇と人材減少という福祉資格の現状を踏まえ、その行方を考察する。

「家政士」国家資格化に感じる期待と違和感

更新日:2026/01/21

新しく国家資格化される『家政士』について。

令和7年12月24日に開催された第2回日本成長戦略会議において、高市総理は以下のように述べました。


『家事等の負担軽減につきましても、家事支援サービス等の公的資格化に向けた業界関係者との調整及び税制を含む支援措置の具体化に関し、検討を加速してください。』


この発言は、家事や育児の負担軽減を通じた少子化対策および労働人口減少への対応策として、家事支援サービスに従事する人材の公的資格化(国家資格化を含む)や、ベビーシッター・家事支援サービスの利用料に対する税制上の支援措置の検討を進める方針を示したものです。
政府は、こうした制度整備について2027年を目途に実現を目指し、検討を進めているとされています。



民間資格について

家事分野においては、すでに民間資格である「家政士検定」が存在します。
「家政士検定」は、公益社団法人日本看護家政紹介事業協会が主催する民間資格であり、家事支援サービスに従事する人材に対し、専門的かつ実務的な知識の習得を求めるものです。
同検定では、主に以下の分野に関する知識が求められます。

1. 家事サービス実務における、衣・食・住に関する各種生活サービスの詳細な知識
2. 介護サービス実務における、身体介護サービスに関する詳細な知識
3. 子育て支援サービス実務における、日常生活支援に関する詳細な知識
4. 家政サービスを実施するうえでの基本事項および倫理・留意点



他資格との関連性

現時点では制度設計の途上にあり、詳細は明らかになっていませんが、民間資格である「家政士検定」については、既存の国家資格と内容が重複する部分が多く見られます。
特に、家事・育児・生活支援・介護に関する知識や実務の観点においては、保育士や介護福祉士の資格内容と共通する領域が多いと考えられます。


感想

近年、福祉分野における国家資格については、担い手確保を目的としているためか、合格者数を増やす方向で運用されている印象を受けます。
その結果、各資格の合格率は上昇傾向にあります。


介護福祉士国家試験 合格率 受験者数

第28回(2015年)

57.9% 152,573

第37回(2024年)

78.3% 75,387


精神保健福祉士国家試験

合格率 受験者数
第17回(2015年) 61.3% 7,183

第27回(2025年)

70.7% 6,642


社会福祉士国家試験 合格率 受験者数

第27回(2015年)

27.0% 45,187
第37回(2025年) 56.3% 27,616


一方で、合格率の上昇とは裏腹に、受験者数は年々減少傾向にあります。
社会福祉士国家試験では、2015年の受験者数が45,187人であったのに対し、2024年には27,616人まで減少しており、受験者数は約6割にまで落ち込んでいます。
大学等で所定の単位を修得するなど、厳しい受験資格を経て取得される国家資格が、福祉人材の確保を理由に、いわば「量の確保」を優先する形で拡大している現状は、国家資格としての質の担保という観点から考えさせられるものがあります。
近年の福祉系国家資格は、迷走しているように感じてしまいます。


こうした状況の中で、新たに「家政士」という国家資格が加わることで、福祉系資格全体がどのような方向へ進むのか、強い関心を覚えます。
特に、既存の介護福祉士との役割分担や資格内容の整理や、どのような事業形態を想定しているのか、今後注視すべき点であると考えます。


新たな事業や制度が立ち上がる局面は、見方を変えれば新規参入や事業展開の好機とも捉えることができます。
次回の障害福祉の報酬改定については、かなり厳しい内容になるとの見方も聞かれることから、今後に備え、幅広い分野にアンテナを張っておきたいな~と個人的に感じています。



 

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