更新日:2026/04/03
先日、福祉業界で注目すべきニュースが飛び込んできました。
厚生労働省が、障害福祉サービス事業所の経営実態調査において、新たに「コンサルティング料」と「フランチャイズ(FC)料」を調査項目に追加するという方針を示しました。
「なぜ今、コンサル料が狙い撃ちされているのか?」
「これから新規参入や多機能型への展開を考えている法人はどうすべきか?」
現場での支援員経験、そして現在は行政書士として設立支援に携わる立場から、このニュースの背景と対策について解説します。
今回の調査項目追加の背景には、近年の「利益優先」といわれる過熱した新規参入への、国からの厳しい「NO」のサインがあります。
背景にあるのは、以下のような深刻な問題です。
「福祉は儲かる」「経営〇年で年商〇千万円!」「アパート経営より手堅い投資」といった、まるで不動産投資のようなキャッチコピーで、福祉の専門知識を持たないオーナーを誘うビジネスモデルが急増しました。
しかし、蓋を開けてみると収支が合わず、トラブルに発展するケースが後を絶ちません。
象徴的な事例として、ペット共生型グループホームを展開する「アニスピホールディングス」を巡る訴訟などが挙げられます。
本部への高額なロイヤリティや、事前の説明と実際の実態が異なるとして、加盟店側から訴えが起こるなど、福祉現場が「紛争の場」となってしまった例もあります。
現在、多くの福祉現場では深刻な人手不足に悩まされています。
その最大の理由は、他産業と比較しても顕著な「低賃金」です。
国は処遇改善加算などで賃金アップを図っていますが、一方で今回の調査が示す通り、
「国が支払った報酬が、現場の職員に回らず、外部のコンサル会社へ過度に流れているのではないか?」
という疑念が強まっています。
こうした声が、今回の「経営実態調査」への項目追加を後押ししたと言えるでしょう。
今回の調査は、2027年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けた極めて重要なステップです。
2026年(令和8年)6月に実施される経営実態調査では、全事業所を対象に「2025年度(令和7年度)の決算状況」がチェックされることになります。
もし現在、コンサルティング契約を結んでいる、あるいはFC加盟を検討している場合は、その費用が「支援の質」に見合っているか、改めて精査する必要があります。
また、今回の調査ではICTの導入状況や賃上げの効果についても項目が追加されるため、単なる収支だけでなく「効率化と職員への還元」がセットで求められていることがわかります。
障害者総合支援法の施行以降、いわゆる「官から民へ」の流れが加速し、コストカットや担い手不足を補うための民間参入が促進されてきました。
営利法人が参入するにあたって、利益を追求すること自体は決して「悪」ではありません。
むしろ、良質な支援を継続し、スタッフの雇用を守り、持続可能な福祉を実現するためには、ビジネスとして収支を成り立たせることは至極まっとうな視点だと言えます。
しかしながら、福祉制度というものは、その多くが「性善説」に基づいて設計されている側面があると私は感じています。
「支払われた報酬は、当然、利用者の利益と現場の処遇のために使われるだろう」
国や自治体、そして何より利用者様とそのご家族からの、そんな「信頼」が前提にあるのです。
今、コンサル料やFC料が調査対象となったことは、これまでの「ノウハウを金で買う」というスピード重視の経営スタイルから、真の意味で「自立した経営」へと舵を切る大きな転換点に来ているのだと感じます。
これからの経営者に求められるのは、以下の2点と考えます。
支払っているコンサル料が、具体的にどのような成果(加算の取得や支援の質の向上)につながっているのか。
行政から問われた際に、胸を張って説明できる体制を整えておくこと。
私自身、共同生活援助(グループホーム)の支援員として現場にいた際、数字上のデータだけでは決して見えない「日々の暮らしの支え」の重要性を痛感しました。
外部のパッケージに丸投げせず、現場の声を反映した運営体制を自ら構築すること。
それが結果として、行政だけでなく利用者や家族からの揺るぎない信頼につながります。
「制度の隙間」を縫うような経営ではなく、制度の趣旨を理解し、誠実に経営することこそが、これからの時代に生き残る唯一の道ではないでしょうか。
今回のニュースは、真面目に運営している事業所にとっては、業界の健全化が進む一歩と捉えることもできます。
一方で、コンサルやFCに依存しすぎているモデルは、将来的な報酬改定で逆風を受けるリスクが高まっています。
私は行政書士として事務所を運営していますが、その根底にあるのは、学校給食の現場や、障害福祉の現場で、利用者様や職員の皆様と共に過ごしてきた時間です。
「制度の隙間」で利益を追うことよりも、「制度の趣旨」に立ち返り、目の前の利用者様や職員が安心して明日を迎えられる運営を目指す。
それが、社会福祉士としての私の揺るぎない信念です。
数字や効率だけでは語れない、福祉の現場にある「大切なもの」を共に守っていける。
そんな、地域の伴走者でありたいと願っています。
障害福祉サービスの指定申請・運営については
【越谷で障害福祉サービス指定申請を支援する『社会福祉士×行政書士なばな事務所』】
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