更新日:2026/02/17
独立開業型の相談支援事業所は、本当に成り立つのでしょうか。
「収入が低いのではないか」「業務負担が大きくて大変なのではないか」といった不安を感じている方は少なくありません。
実際、福祉事業者の方や現場で従事されている方と会話をしていると、相談支援事業に対して漠然とした不安の声を耳にすることが多くあります。
しかし、「なぜそう感じるのか」という問いに対して、明確な根拠をもって説明されるケースは多くないのが実情です。
相談支援事業への参入に不安を感じる主な理由は、概ね次の2点に集約されます。
・ 収入面の不安
・ 過重労働に対する不安
特に、「報酬単価が低い割に業務負担が大きそう」という声は多く聞かれます。
そこで本記事では、独立開業型の相談支援事業所を長年経営している方の実例をもとに、実際の売上や働き方、営業方法などを具体的に紹介しながら、相談支援事業の収入面と実態について整理していきます。
これから相談支援事業を始めようと考えている方や、参入を検討している方にとって、現実的な判断材料となれば幸いです。
本記事で紹介するのは、独立開業型の相談支援事業所を長年運営している事業者の実例です。
実際の運営状況は以下の通りです。
| 事業所 | 自己所有物件 |
| 人員 | 4人(相談支援専門員3人/事務員1人) |
| 利用者数 | 約300人 |
| 相談支援専門員1人あたりの担当件数 | 約30~40件/月 |
| 月商 | 約200万円弱 |
| 基本報酬 | 機能強化型(継続)サービス利用支援費(Ⅲ) |
| 給与 | 約30万円/人(相談支援専門員) |
| 勤務時間 | 10:00~17:00 |
| 休日 | 週休3日(水・土・日・祝日) |
以下は、相談支援事業を長年経営している方への複数の質問に対する回答を整理し、事務的に読みやすく整えたものです。
開業してどれくらいたちますか?
約8年になります。
経営が軌道に乗るまでどれくらいかかりましたか?
約1年程度です。
開業当初は貯蓄を切り崩しながら運転資金としていましたが、その後は徐々に利用者数が増加し、黒字化・安定化に至りました。
運転資金はどれくらい用意しましたか?
約100万円です。
自己所有物件での開業であり、管理者と相談支援専門員を兼務していたため、固定費を抑えることができ、比較的少ない運転資金で事業を立ち上げることができました。
営業活動はどのように行っていますか?
現在は積極的な営業活動を行っていません。
開業当初は近隣施設への挨拶回りや名刺交換、DM送信を実施しましたが、誠実に支援を継続する中で紹介が増加し、現在は紹介ベースで利用が拡大しています。
ひと月30件から40件の相談支援を行うことはどれくらい大変ですか?
相談支援は利用者本人の人生に関わる重要な業務であるため、精神的な負担は無視できません。
ただし、複数の利用者が同一施設に入所している場合は訪問効率が上がるため、身体的負担はそれほど大きくありません。
一方で、移動距離が多いため、運転が苦手な人には負担になる可能性があります。
仕事の上で大変なことは何ですか?
学習と判断の負担が大きい点です。
相談支援業務は非常に幅広い分野の知識が求められるため、日々の学習や自己研鑽が欠かせません。
制度改正への対応や多様化する支援ニーズを理解するため、日常的な情報収集に加え、自治体や専門機関が実施する研修への参加も必要となり、業務と並行して行う点に負担を感じることがあります。
また、単に制度やサービスに詳しいだけでなく、相談支援専門員としての識見や判断力、人としての在り方や人間性も常に問われる仕事である点も、大きな難しさの一つです。
第三者の立場を保ちながらも、相談者の生活や人生に深く関わるため、距離感の取り方を誤ると精神的に疲弊してしまう職員も少なくありません。
専門職としての冷静さと、相手に寄り添う姿勢の両立を図りながら支援を行うことが、この仕事のやりがいであると同時に、大変な部分でもあります。
相談支援事業の良い点はどんなところですか?
比較的「手離れが良い」点です。
相談支援は、利用者日常生活への直接支援ではなく、計画立案・モニタリングが中心であるため、定期的な訪問や面談による支援が中心となり、手離れが比較的良い点が魅力です。
週休3日にしている理由はなぜですか?
セカンドライフとの両立のためです。
年金生活と並行しているため、プライベートの時間を大切にする働き方を選択しています。
基本報酬は機能強化型(継続)サービス利用支援費(Ⅱ)の算定要件を満たしていますが、なぜ(Ⅲ)で算定しているのですか?
無理な体制を取らないためです。
当事業所では24時間体制等の体制強化を図らず、セカンドライフとの両立を重視しているため、無理な体制構築をせず(Ⅲ)で算定しています。
相談支援事業についてどう思いますか?
高収益ではないが、安定した生活は可能な事業です。
相談支援事業は 非常に高収益というわけではありませんが、普通の暮らしを維持するための収入は十分に期待できるビジネスであると感じています。
また、当該地域および近隣地域では「セルフプラン率が高い傾向」であることから、今後も地域での相談支援需要は高まっていく可能性があると考えています。
上記のような実情を詳しく教えていただきました。
今回、率直で貴重なお話をお聞かせくださった経営者の方には、感謝の気持ちしかありません。
今回のお話を伺い、相談支援事業に対する不安の本質は、「収益性」と「業務負担」に対する漠然としたイメージにあるのではないかと感じました。
確かに、他の障害福祉サービス事業と比較すると、相談支援事業は報酬体系がやや脆弱に映る側面があります。
営利性を最優先に考える事業者にとっては、大きな利益を期待しにくい事業であることも事実でしょう。
しかし一方で、相談支援事業は単なるサービス提供にとどまらず、障害のある方一人ひとりの生活や選択、ひいては人生そのものに深く関わる重要な役割を担っています。
地域の福祉を支える「要」としての機能を果たす、社会的意義の高い仕事です。
そのため、高収益を追求するビジネスというよりも、支援の質や継続性を重視し、ワークライフバランスを大切にした働き方を実現したい方、そして相談支援そのものに強い思いを持つ方にとっては、十分に検討に値する選択肢ではないでしょうか。
独立開業型の相談支援事業は「大きく儲かる事業」ではありません。
しかし、地域ニーズを的確に捉え、無理のない体制で運営すれば、安定した収入と持続可能な働き方を両立できる可能性を秘めています。
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