更新日:2026/05/03
障害のある方が将来、グループホーム(共同生活援助)で生活するにあたっては、どの程度の収入と支出が見込まれるのかを事前に把握しておくことが重要です。
本記事では、埼玉県越谷市での生活を想定し、現実的な収支のイメージを整理します。
なお、本シミュレーションは「最低限生活できるライン」を示すものであり、実際の生活では追加の支出が発生する点にご留意ください。
今回のモデルケースでは、主な収入を以下のように設定します。
| 障害基礎年金2級 | 月額約70,600円(令和8年度水準) |
| 重度心身障害者手当 | 月額3,500円 (越谷市の制度) |
これらを合計すると、月額収入は74,100円となります。
ただし、市の手当については所得制限や対象要件があるため、すべての方が受給できるわけではないことに留意が必要です。
また、実際にはこれらに加えて、就労継続支援B型における工賃、就労継続支援A型や一般就労による賃金・給与などが収入となる場合があります。
日中活動の内容や就労状況によって収入額は大きく異なるため、年金や手当に加え、就労収入も含めて生活設計を考えることが重要です。
グループホームで生活する場合、主な支出のシミュレーションは以下の通りです。
| 家賃 | 35,000円 |
| 食費 | 30,000円 |
| 光熱水費 | 8,000円 |
| 日用品費 | 2,000円 |
合計は75,000円となります。
ここで注意すべき点として、これらはあくまで「基本的な生活費」であり、実際には以下のような支出も発生します。
• 日中活動先での昼食費
• 通所や通院にかかる交通費
• 医療費の自己負担分
• 携帯電話代や被服費
• 余暇活動や交際費
そのため、この収支だけで生活を維持するのは難しく、他の収入を見込むことが前提となります。
グループホーム利用者には、特定障害者特別給付費という制度があり、家賃に対して月額最大10,000円の補助が受けられます。
この制度は家賃負担を直接軽減する仕組みです。
一見すると黒字に見えますが、この余剰は決して十分とはいえません。
前述の追加支出を考慮すると、実際には数万円程度の赤字となるケースも珍しくありません。
したがって、このシミュレーションは「生活が成り立つ最低ライン」であり、余裕のある生活を意味するものではない点に注意が必要です。
グループホームは障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスであり、本来はサービス利用料(原則1割負担)が発生します。
ただし、低所得の方や生活保護受給者については自己負担上限により負担が0円となることが多く、実際の請求では家賃や食費などの実費のみが見える形になります。
そのため「サービス料がかからない」と誤解されやすい点には注意が必要です。
グループホームで安定した生活を送るためには、各種制度の活用が不可欠です。
埼玉県心身障害者扶養共済制度は、保護者が生前に掛金を支払い、死亡または重度障害状態となった場合に、障害のある方へ年金が支給される制度です。
重要な点として、この制度は「将来の生活保障」であり、保護者が健在な間は収入にはなりません。
なお、障害のある方1人に対して2口まで加入することができます。
【掛金月額】
|
加入時の年齢 |
一口当たりの掛金 |
| 35歳未満 | 9,300円 |
| 35歳以上40歳未満 | 11,400円 | 40歳以上45歳未満 | 14,300円 |
| 45歳以上50歳未満 | 17,300円 |
| 50歳以上55歳未満 | 18,800円 | 55歳以上60歳未満 | 20,700円 |
| 60歳以上65歳未満 | 23,300円 |
※ 掛金月額は、制度改正に伴い改定されることがあります。
【年金支給額】
| 口数 | 支給額 |
| 1口加入 | 月額20,000円(年額240,000円) |
| 2口加入 | 月額40,000円(年額480,000円) |
特別障害者手当は、重度の障害がある方に対して支給される手当で、月額30,450円(令和8年4月時点)が支給されます。
施設入所者は対象外ですが、グループホーム入居者は対象となる場合があります。
該当すれば生活の安定に大きく寄与します。
グループホームでの生活は制度によって一定程度支えられていますが、収支は制度の活用状況によって大きく左右されます。
特に重要なのは、収入を増やす視点だけでなく、家賃補助や自己負担上限、各種減免制度などを活用し、支出を適切にコントロールすることです。
将来の生活設計においては、個別の状況に応じて制度を組み合わせながら、無理のない収支バランスを検討していくことが求められます。